怖い話と怪談の処

いつも☆くださる方、ありがとうございます。このブログは知り合いから聞いた話や、思いついた話を載せていきます。完全に自作した話やAIにアイデアを貰った話、心霊系動画に使えそうな素材等を置いていきます。

書架の間から覗く影

Nさんという人から聞いた話。

 

Nさんは大学生で、試験近くに深夜まで図書館で勉強することが多かった。

大学の近くにあるその図書館は、24時間営業しており学生たちにとっては非常に便利な場所だった。

ある晩、図書館で勉強をしていたNさんは、深夜1時を過ぎた頃に休憩を取ることにした。

静まり返った図書館の中で、Nさんは飲み物を取りに行こうと席を立った。

自動販売機の前で飲み物を選んでいると、誰かの視線を感じた。

振り返ると遠くの書架の間に人影が見えた。

暗い中で見えるその影は、じっとこちらを見つめているようだった。

(こんな時間に他にも勉強している人がいるんだな)

そう思ったNさんは特に気にせず席に戻った。

 

しかし、その後もその影が頭から離れなかった。

勉強に集中しようとするたびに視線を感じ、目を上げると書架の間に同じ影が見えるのだ。

不安になったNさんは、近くにいた図書館の職員に声をかけた。

「すみません、あそこにいる人、何をしているんでしょうね?」

職員はNさんが指さした方向を見た。

「誰もいないですよ」

そう言われてNさんは不安になった。

確かに人影が見えたはずなのに。

職員は

「深夜だから疲れているんでしょう。少し休んだ方がいいですよ」

と言い残して去っていった。

しかしNさんは納得できなかった。

再び勉強に戻ったが、視線を感じるたびに背筋が寒くなった。

最後にはどうしてもその場所を確かめたくなり、勇気を出して書架の間に向かった。

 

暗い書架の間を歩いていると、突然耳元で「何を見ているの?」という声が聞こえた。

驚いて振り向いたが誰もいない。

しかし、その声の主がさっきの覗いていた影では?と思ったNさんは、恐怖で全身が震えた。

 

その後、Nさんはもう図書館で夜遅くまで勉強することはなくなった。

友人たちにその話をすると「疲れて幻覚を見たんだよ」と笑われたが、Nさんにはあの時の声と視線が忘れられなかった。

夜の図書館には何かが潜んでいるのかもしれない。