怖い話と怪談の処

いつも☆くださる方、ありがとうございます。このブログは知り合いから聞いた話や、思いついた話を載せていきます。完全に自作した話やAIにアイデアを貰った話、心霊系動画に使えそうな素材等を置いていきます。

深夜の予約電話

タクシー運転手のKさんは、深夜のシフトを終えかけていた。

夜のタクシー業務は酔っ払い客や奇妙な出来事が多いが、それに慣れてしまうのがこの仕事の常だった。

その夜も、Kさんは最後の一件を終えて会社に戻るところだった。

 

時計は午前1時半を指していた。

ラジオから流れる音楽が車内の静けさを和らげていた時、突然無線が鳴り響いた。

オペレーターからの連絡だった。

「Kさん、すみませんがもう一件だけお願いできますか?緊急の予約が入ったんです。住所は◯◯町の5番地です。」

Kさんはため息をつきながらも了承し、指定された住所へ向かった。

その場所は郊外の静かなエリアで、特に深夜にはほとんど人が出歩いていない。

Kさんはこのような予約がたまに入ることを知っていたため、特に気にすることなく車を走らせた。

 

やがて指定された住所に到着して驚いた。

そこには墓地が広がっていたのだ。

少し不安を感じ、車を降りて周囲を見回したが誰もいない。

(こんな場所に人がいるはずがない)

そう思いながら念のために無線でオペレーターに確認した。

「こちらKです。指定された住所に到着しましたがここは墓地です。何かの間違いでは?」

オペレーターは少し困惑した声で答えた。

「そうですか?住所は確かに◯◯町の5番地でした。何かの間違いかもしれません。

すみませんがもう少し待ってみていただけますか?」

Kさんは車に戻り、エンジンを切ってしばらく待つことにした。

その時、車の後部座席に何かが動いたような気がして振り返ったが、誰もいなかった。

(気のせいか)と思ったその時、突然後部座席のドアが開き、冷たい風が車内に流れ込んできた。

Kさんは驚いて開いたドアを見るが誰もいない。

(なんだ、誤作動か)

ドアを閉めようとした時、背後から消え入りそうな女性の声が聞こえた。

「◯◯までお願いします」

Kさんは凍りついた。

振り向くと後部座席に一人の女性が座っている。

その顔は青白く、目は虚ろでまるで生きていないかのようだった。

Kさんは恐怖で動けなかったが、その女性はただ静かに見つめていた。

女性は続けて口をパクパクと動かしたが、何を言っているのか聞き取れない。

Kさんは震えながら

「す、すいません、きき、聞き取れなかったのでもう一度お願いしますっ」

そう言った瞬間、女性は霧のように消えてしまった。

Kさんは震え声で悲鳴を上げ、急いで車を発進させその場所を離れた。