夜の神社に友人と肝試しに行った時の話。
真夏の夜、友人と二人で近所の神社に肝試しに行くことにした。
深夜0時を過ぎ、静まり返った道を懐中電灯を片手に歩き、神社の鳥居をくぐった。
夜の神社は昼間とは全く違う雰囲気で、暗闇に包まれた木々は不気味な影を落としていた。
静寂の中、風の音だけが異様に響き渡っている。
友人と私は言葉を交わすことはなく、ただただ奥へと進んでいた。
しばらく歩くと古い大きめの祠が見えてきた。
近づいてみると、扉は壊れ、中は真っ暗闇。
「ここ絶対何かいるよね…」
友人が恐る恐る呟いた。
「…怖いけど入ってみよう。」
私はそう言って祠の扉に手をかけた。
ギィ…
扉を開ける音だけが夜の静寂を破った。
中に入るとさらに不気味な空気が漂っている。
壁には奇妙な模様が描かれ、床には埃が積もっていた。
懐中電灯で辺りを照らすと、奥に何かがあるのが見えた。
「あれ、何…?」
友人が声を震わせながら尋ねてきた。
私はゆっくりと奥へと進んでいき、その正体を確認した。
「…人形?」
そこには等身大の人形が置かれていた。
しかしその人形は明らかに異様。
所々汚れてボロボロな白のワンピース、真っ白な顔、真っ赤な目、そして不気味な笑みを浮かべていた。
「…気持ち悪い…」
友人が思わず声を漏らした。
私はその人形をじっと見つめていた。
すると人形の目が…動いた。
私は目を疑った。
人形の目が確かに動いたように見えたのだ。
「…逃げよう!」
私は怖くなって友人の手を引っ張っり、祠から飛び出した。
友人は何事か分からず、何?どうしたの?と何度も聞いてくるが、私はあとで説明するからと言って走る。
後ろを振り返ると、人形がこちらを向いているような気がした。
私たちは夢中で神社を駆け抜け鳥居をくぐった。
安全な場所までたどり着くと、しばらくの間息を切らせていた。
やっと落ち着いてきたので友人に先程見た事を説明すると、
「やっぱり気のせいじゃなかったんだ」
と言った。
どうやら友人も気づいていたようだ。
翌日、その出来事を家で話したところ、親とお婆ちゃんから「そんな所に人形なんて置いてない」と言われた。
そんなばかなと思ったので友人と昼に確認しに行ったのだが、奇妙な模様も人形無く、ガランとしていた。