薄暗い部屋に一人でいる少女、名前はサクラ。
古い木造家屋の隙間風が吹き、カーテンを揺らして不気味な音を立てていた。サクラは背筋にぞっとするような悪寒を感じながら、鏡の前で髪を梳いていた。
鏡に映る自分の顔はどこかいつもと違う。目の下にクマができ、頬は青白く、唇は血の気を失っていた。サクラは鏡に映る自分に話しかけてみた。
「ねえ、どうしたの?あなたは誰?」
しかし鏡の中の自分は何も答えない。ただ虚ろな目でサクラを見つめているだけだった。
サクラは鏡に映る自分の顔に近づいていった。すると鏡の中から冷たい風が吹き出し、サクラの髪を乱した。サクラは思わず後ずさり、鏡から目を離した。
再び鏡を見たときサクラは目を疑った。鏡に映っていたのはサクラではなく別の少女だった。その少女の目は異様に大きく、口は不気味に裂けていた。
サクラは恐怖で声も出なかった。鏡の中の少女は、サクラに微笑みながらこう言った。
「さあ、こっちへおいで。」
サクラは鏡の中の少女に引きずり込まれるように、鏡の中へと消えていった。
数日後
サクラの両親は、行方不明になったサクラを必死に探していた。警察の捜査にもかかわらず、サクラの手がかりは見つからなかった。
ある日、サクラの母親は古い物置で奇妙な鏡を見つけた。その鏡は埃まみれで古びていたが、なぜか異様な存在感を放っていた。
サクラの母親は鏡に映る自分の顔を見つめた。すると鏡の中からサクラの声が聞こえてきた。
「お母さん、助けて…」
なんと、鏡の中に行方不明になった娘のサクラがいる。サクラの母親は驚き叫んだ。
鏡の中のサクラも叫んでいる。
しかしどうやれば娘を助け出せるのか分からない。
そこでサクラの母親は鏡を割ろうと、物置に置いてあるものを掴んで叩きつけてみたが、鏡はびくともしなかった。どういう事だと鏡に手を伸ばし触れた。
すると鏡の中から冷たい風が吹き出し、サクラの母親を包み込んだ。サクラの母親は鏡の中へと消えていった。
その後
サクラとサクラの母親は二度と戻ってくることはなかった。古い物置に残された鏡は、今もなお異様な存在感を放ち続けている。