薄暗い山道を一人の男が歩いていた。
男の名前は健太。彼は山奥にある廃村を訪れるためにこの道を歩いていた。
健太が廃村に興味を持った理由は、数年前、祖父から聞いた話がきっかけだった。
祖父の話によると、その廃村にはある恐ろしい影絵があるという。
影絵は夜になると村の壁に現れるそうで、それは人型の影絵で見る者を狂気に追い込むと言われている。
健太はその影絵を自分の目で確かめるために、廃村に行くことを決意した。
山道を歩き続けること数時間、健太はついに廃村に到着した。
村は蔦に覆われた建物や朽ち果てた家々など、見るも無残な状態だった。
健太は村の中を探索し始めた。しかし人の気配は全くなく、静寂だけが彼の耳を包み込んでいた。
ある家屋の中で古い日記を見つけた。そこには村人たちが謎の病気によって次々と倒れていく様子が記されていた。
日記を読み進める健太の背後から、突然物音が聞こえてくる。
振り返るとそこには薄暗い影が立っていた。
影はゆっくりと健太に近づいてくる。健太は恐怖で体が震え一歩も動けなかった。
影は健太の目の前でゆっくりと形を変えていく。それは人型の影絵だった。
影絵は健太の前でじっと止まり、何も言わずに消えていった。
健太は恐怖と疲労でへとへとになり、その場で倒れ込んでしまった。
数時間後、健太は目を覚ました。彼は自分が村の入り口付近にいることに気が付いた。
健太は村を後にし、帰る為の山道を歩き始めた。
彼は影絵の正体を知ることができなかったが、影絵が決してただの幻影ではないことを肌で感じていた。