深夜、一人で残業していた私は、静かな事務室で仕事に没頭していました。
外は暗く、時折風が窓を叩く音が聞こえるだけでした。
その日は特に遅くまで仕事をしていたため、疲れがピークに達していました。
疲れているせいか、時折視線を感じることがありましたが誰もいないはず。
同僚は既に帰宅しているはずです。
しかしその感覚はどんどん強くなりました。
背後から冷たい視線が私を貫いているような気がして、鳥肌が立ちました。
私は慌てて周囲を見回しましたが誰もいません。
すると机の上にあったペンが突然動き出しました。
まるで誰かが手で押しているかのように、ゆっくりと動いているのです。
私は驚きと恐怖で声を出せませんでした。
ペンは机の端から端へと移動し、そのまま床に落ちました。
震えながら机の下を覗き込みましたが何もありません。
しかしその瞬間、背後から冷たい息が私の首筋に触れました。
私は振り返る勇気もありませんでした。
ただ机の上にあったメモ用紙に「帰れ」と書かれているのを見て、足元から力が抜けました。
誰かが私を追い出そうとしているのか、それとも…?
怖気づいた私はその場を飛び出し、会社を後にしました。
それ以降、深夜の事務室で一人で仕事をすることはありません。