その日、資料整理で遅くなり、時計は23時を回っていた。
周囲は静まりかえり、エアコンの微かな音だけが響いている。
そんな中、物音が聞こえた。
別室に同僚がいるのでその音かな?と思ったのだが、別室にしてはすぐ近くで聞こえたような感じだった。
なんだろうと周りを見渡しても同僚は見当たらない。
気のせいか、とまた作業を再開していると、目の前の資料が勝手に動き出した。
まるで意思を持っているかのように、資料が開きページがめくられていく。
エアコンの風程度じゃ動くわけがない。
私は目を疑い声も出なかった。
何が起こっているのか全く理解できない。
呆然とそれを眺めていると、ドアが開いて
「どうだ?終わったか?」
と言って同僚が入ってきた。
それと同時に同僚の動きが止まった。
資料が勝手に動いているのを見て、驚いている様子だ。
「え?何だこれ、どうなってるんだ?」
同僚の声に私は我に返った。
なんだか分からないけど、突然資料が開いてページがめくられてるという事を伝えると、同僚がその資料以外を急いで棚にしまい
「おい!帰るぞ!」
とカバンと私を引っ張り、急いで会社の部屋を出た。
そのまま会社を出てから近くの自販機により、飲み物を飲みながら
「前にSさんから聞いた事があるんだけど、極稀にあーいう事があるんだそうだ」
と教えられた。