怖い話と怪談の処

いつも☆くださる方、ありがとうございます。このブログは知り合いから聞いた話や、思いついた話を載せていきます。完全に自作した話やAIにアイデアを貰った話、心霊系動画に使えそうな素材等を置いていきます。

近づいてくるお経

知り合いのAが体験した話。

Aは心霊スポット巡りが趣味の社会人の男。

 

週末の夜、Aはいつものように心霊スポットへと向かった。その日の目的地は山奥にある廃寺だった。

薄暗い廃寺を懐中電灯で照らしながら、ゆっくりと歩きを進めた。

ひんやりと冷えた空気、埃まみれの古い仏像、静まり返った空間。

背筋にぞっとするような感覚を覚えた。

動画サイトに投稿する為、スマホで動画を撮影しながら廃寺を隅々まで探索した。

しかし特に何も起こらず、拍子抜けしながら帰路についた。

 

深夜2時過ぎ、自宅に戻ってきた。

風呂で疲れを癒し、冷たいビールを飲みながら今日の心霊スポット巡りを振り返っていた。

「特に何もなかったな・・・。」

そうつぶやきながらAはベッドに横になった。

その時奇妙な音に気づいた。

「ブゥーン・・・ブゥーン・・・」

それは低くて震えるようなモーター音だった。

最初は冷蔵庫の音かと思ったAだったが、その音は明らかに冷蔵庫の音ではない。

「・・・なんだ、この音は?」

耳を澄ませ、音の正体を探ろうとした。

「・・・お経?・・・まさか・・・」

Aは信じられずに耳を疑った。

その音は確かに読経のような声だった。

Aは恐怖に襲われ、布団を頭まで被った。

「・・・怖い・・・助けて・・・」

震えながらただ助けを求めることしかできなかった。

読経の声は徐々にAに近づいてきているようだった。

やがてそれはAの布団のすぐ側に来たようで、すぐ側で聞こえている。

「・・・ごめんなさい!・・・申し訳ありませんでした!」

Aは恐怖で必死に謝り続けた。

 

どのくらい時間が経ったのか分からないが、ようやく読経の声は聞こえなくなった。

Aは布団から顔を出し、すぐさま今日録画したデータを消去したそうだ。