怖い話と怪談の処

このブログは知り合いから聞いた話や、思いついた話を載せていきます。完全に自作した話やAIにアイデアを貰った話、心霊系動画に使えそうな素材等を置いていきます。使用したい場合はこのサイトについてを、画像素材は画像素材のTOPの注意事項を必ず読んで下さい。

旅館の廊下から何かを引きずるような音

友人Aから聞いた話だが、これがかなり気味が悪い。

Aが一人で山奥の温泉旅館に泊まった時のことで、都会の喧騒を離れて、ゆっくり羽を伸ばそうと出かけたそうだ。

Aの部屋は廊下の奥の方。窓の外は真っ暗で虫の声だけが響く静かな夜だったらしい。

そろそろ寝ようかと思った時、廊下から音が聞こえてきたという。

コツン、コツン、コツン…

規則正しい何かが硬い床を叩くような音。それがゆっくりとAの部屋に近づいてくる。

誰か下駄でも履いて歩いてるのかと思ったらしいが、こんな時間に廊下を歩くなんておかしい。

音はAの部屋の前で止まった。

Aは怖くなって布団の中で息を殺していたが、今度は襖のすぐ向こうから、何かを引きずるような音と、すすり泣く声が聞こえてきたそうだ。

ズズズ…ズズズ…

まるで重い荷物を引きずるような音と、老人のような悲痛な声。

Aは恐怖で体が硬直し身動きが取れなかったという。

ズズズ…ズズズ…

音はAの部屋の前からゆっくりと遠ざかっていき、しばらくして何も聞こえなくなった。

Aはようやく布団から這い出して、恐る恐る襖を開けて廊下を覗き込んだが誰もいなかったそうだ。


次の日、Aは旅館の人に昨夜の出来事を話した。

するとその人は顔を曇らせてこう言ったそうだ。

「それはこの旅館で亡くなった老人の霊かもしれません。

彼は重い病を患っており、体が不自由だったため、いつも杖をついて歩いていました。

そして亡くなった夜も誰にも看取られることなく、一人で廊下をさまよっていたそうです…」

Aはそれ以来、一人で旅館に泊まるのが怖くなったという。

この話を聞いてから、夜に廊下を歩く音がすると、あの老人のことを思い出して背筋が寒くなるんだそうだ。