夏の夜、山奥のキャンプ場。パチパチと音を立てるキャンプファイヤーを囲んで、大学生のY、K、R、Aの4人が集まっていた。
彼らは同じ大学の「不思議探索サークル」のメンバーで、心霊スポット巡りや都市伝説の調査など、オカルトにまつわる活動を行っていた。
「じゃあ、次はYだな」
Kに促され、Yはリュックから古びたランタンを取り出した。
アンティークショップで見つけたもので、真鍮製の本体には細かい装飾が施され、歴史を感じさせる一品だった。
「これ、アンティークショップで見つけたランタンなんだけど、なんか雰囲気あるでしょ?」
Yが得意げにランタンに火を灯すと、辺りはオレンジ色の淡い光に包まれた。
しかしその光はどこか不気味で、ランタンの影がゆらゆらと伸びて、まるで生き物のように蠢いているように見えた。
「…なんか、気持ち悪い影だな」
Rが眉をひそめるとAも同意するように頷いた。
「ちょっと待って、何か聞こえない?」
Kが耳を澄ますと、ランタンから微かに何かが囁くような声が聞こえてきた。
それは言葉のようにも聞こえるが意味はわからない。
まるで呪文のような不気味な響きだった。
4人は顔を見合わせ恐怖に包まれた。
「このランタン… 何か曰くがありそうだな」
Yが呟くとKが続けた。
「前の持ち主が不幸な目に遭ったとか、そういう類の話じゃないか?」
Rはインターネットでランタンの情報を検索してみたが、何も見つからなかった。
「このランタン、どこで作られたものかもわからない…」
4人はランタンの謎を解き明かそうと夜通し話し合ったが、結局何もわからなかった。
翌朝、ランタンを調べてみると、底の部分に小さな文字が刻まれていることに気づいた。
それはラテン語で「我に触れる者、呪われる」と書かれていた。
4人は恐怖で震え上がり、急いでキャンプ場を後にした。
数日後、Yは40度近くの高熱を出し数日間寝込んでしまった。
病院で検査をしても原因は分からず、Yはあのランタンの呪いではないかと不安になった。
その後、彼らは二度とそのランタンを使うことはなく、大学のオカルト研究部の部室の奥に封印した。