知り合いのFさんから聞いた話。
Fさんはトンネル巡りが趣味で、各地のトンネルを巡っていた。
今回訪れたのは山奥にある古いトンネル。
マニアの間では変なものが写る所として有名で、以前から気になっていた場所だった。
まず安全確認の為、昼間にトンネルを下見することにした。
トンネルはひんやりとしていて、じめじめとした空気が漂っていた。
Fさんはスマホで写真を撮りながら、ゆっくりとトンネルの中を進んでいった。
昼間だからか特に変わった様子もなく、Fさんは少し拍子抜けした。
一旦少し離れたところにある町に戻り、予め予約を入れていた宿で時間を潰す。
やがて夜になって再びトンネルを訪れたFさんだが、そこで奇妙な出来事が待ち受けていた。
トンネルに入ってしばらく進み、写真を撮ってみた。
すると写真には白いオーブが写っていた。
最初はカメラのレンズの汚れかと思ったが、何枚撮ってもオーブが写る。
Fさんは面白くなって夢中でシャッターを切った。
さらに奥へと進んでいくと、今度は写真に白い靄のようなものが写り始めた。
肉眼では何も見えないのに写真にははっきりと写っている。
それは奥の方からゆっくりと近づいてくるようで、Fさんは少し怖くなってきた。
友人に電話をかけようとしたが、トンネルの中なのか圏外でつながらない。
Fさんは足を止め、スマホでまた写真を撮り、すぐに画像を確認してみた。
すると白い靄が徐々に赤みを帯びてきた事に気づいた。
「なんだこれ」と思いながら何枚か撮って確認をしていた時、奥の方から
「カン!カン!」
と何かを叩きつけるような音が聞こえてきた。
Fさんは恐怖を感じつつ、夢中でさらに写真を撮った。
すると
「ドゴン!」
と凄い音が鳴った。
Fさんは慌ててトンネルから逃げ出した。
宿に戻って写真を確認してみると、赤い靄がFさんに向かって迫ってくる様子がはっきりと写っていた。