深夜、フリーランスのライターUさんは、自宅の書斎でブログ記事の作成に没頭していた。
一区切りついたUさんは、大きく伸びをしてから
「そうだ、コーヒーでも淹れて休憩しよう」
と立ち上がった。
ふと背後にある本棚に目を向けると、何かが動いたような影を見た。
気のせいかと思ったが、もう一度目を凝らして見ると、やはり本棚の隙間から何かがこちらを覗いているような気配がする。
Uさんは恐る恐る本棚に近づき、隙間から覗き込んでみた。
しかしそこには何も見えない。
「気のせいか…」
Uさんはそう自分に言い聞かせ、再び机に向かった。
しかし、また背後からの視線を感じ、どうしても気になってしまう。
思い切って本棚の本をいくつかどけてみた。
すると本棚の奥に、今まで見た事がない暗闇が広がっていた。
「…なんだこれ」
Uさんは不思議に思い、懐中電灯を持ってきて本棚の奥を照らした。
するとそこには信じられないものがいた。
なんと、本棚の奥に人の顔のようなものが浮かんでいたのだ。
顔は青白く、目は大きく見開かれ、口は不気味なまでに裂けていた。
Uさんは恐怖で声も出ない。
ただただ恐怖で固まっていると、顔はゆっくりと消えていった。
Uさんは震える足で書斎を飛び出し、リビングにいる妻に助けを求めた。
妻と共に書斎に戻ってみると、本棚には顔どころか暗闇の空間も無かった。
結局、怖いこと言わないで!と妻に怒られてしまった。
今でもたまに気になり、本をどかして覗いてみてるそうだが、そのような暗闇の空間は無いそうだ。