怖い話と怪談の処

いつも☆くださる方、ありがとうございます。このブログは知り合いから聞いた話や、思いついた話を載せていきます。完全に自作した話やAIにアイデアを貰った話、心霊系動画に使えそうな素材等を置いていきます。

木立から聞こえる微かな囁き声

夕暮れ時、Kさんは山奥の静寂に包まれた場所に一人テントを設営していた。

辺りは深い森に囲まれ、日が落ちると共に鳥の鳴き声も聞こえなくなってくる。

テントの設営を終え焚き火を起こそうとしたその時、近くの木立から微かな囁き声が聞こえてきた。

 

最初は風の音かと思った。

しかし、耳を澄ますとそれは明らかに人の声だった。

だが何を話しているのかは全く聞き取れない。

男の声にも女の声にも聞こえ、まるで複数の人間が同時に話しているかのようだ。

Kさんは恐怖を感じながらも好奇心を抑えきれず、声のする方へとゆっくりと近づいていった。

 

木立に足を踏み入れると囁き声はより鮮明になった。

だが相変わらず言葉の内容は理解できない。

声は木々の間を縫うように響き渡り、まるで木々自体が話しているかのようだった。

その時、Kさんは一つの奇妙なことに気づいた。

囁き声はKさんが近づくと止み、離れると再び始まるのだ。

 

不安と恐怖がKさんに入り交じる。

この森には何かいる。

人間ではない何か。

Kさんは急いでテントに戻り、震える手で焚き火に火をつけた。

炎が揺らめき周囲を照らす。

しかしその光もKさんの恐怖を完全に消し去ることはできなかった。

 

囁き声は夜が深まっても止むことはなかった。

まるで森全体がKさんに何かを訴えかけているかのようだ。

Kさんは眠ることなどできず、一晩中恐怖に怯えながら朝を待った。

 

朝になり、太陽が昇ると共に囁き声は嘘のように消えた。

Kさんは急いでテントを撤収しその場を離れた。

振り返ると静寂に包まれた木立が、何か秘密を隠しているかのように静かに佇んでいた。

 

その後、Kさんはあの森に近づくことはなかった。

今でもあの時聞いた囁き声が耳から離れない。

あれは一体何だったのか。

木霊の仕業だったのか、それとも…