友人A、Bと私の3人でキャンプに行ったある夜のこと。
テントを張り、やがて夜になったので焚き火をして楽しく話をしていた。
時刻は深夜の0時を回っていたが、まだ眠気は感じなかった。
A「ねえ、怖い話でもしようよ」
B「いいね、それなら僕が聞いた話をするよ」
B「山の中には、黒い影と呼ばれるものがいて、それは人間の形をしているけど、目も鼻も口もない。
夜になるとキャンプ場にやってきて、テントの中に入ろうとするんだ。
だから、テントのチャックは絶対に閉めておかないといけないんだって」
私「え?それが入ってきたらどうなっちゃうの?」
B「誰か一人に取り憑いてだんだん衰弱していっちゃうって噂で…実はその場所っていうのがここなんだ」
え…私とAは固まった。
Bはそんな二人を見てにやりと笑い、冗談だよと付け加えた。
なんだ冗談かよーと苦笑いしたが、私は内心怖かった。
その後も3人であまり怖くない話をし、やがて眠くなってきたので寝る事に。
私はさっきの話が気になってしまってたので、寝る時にチャックをしっかりと閉めた。
寝袋に入ってからしばらくした頃だと思う。
ふいに物音で目が覚めた。
「ザザー…ザザー…」
テントの外から何かがテントを引っ掻くような音がする。
友人が寝ぼけてるんだろうか?と起き上がり周りを見たが、友人たちは眠っていた。
やがて音はテントの正面から聞こえてくる。
「ザザー…ザザー…」
私はさっきの話を思い出し、恐怖に震えながらチャックを確認した。
何故かチャックが少し開いている。
ヤバイ!
何故かそう思い、急いでチャックを閉める為にチャックに近づいた時だった。
チャックの外から目が覗いている。
目以外が真っ黒で見えない。
私は思わず「ぎゃああ!」と叫んでしまった。
その声に友人たちが飛び起き、なんだどうしたと覗きに来る。
しかし私の声に驚いたのか、さっきの目は消えていた。
その事を友人たちに伝えると、まさかさっきの話に出てきたやつか?と騒ぎになり、3人で朝まで起きる事にした。
結局その後は何も起こらなかったので良かったけど、あれは何だったのか?あの話と関係あるのか?という事になり、その話をしたBにもう一度聞いてみると
「いや、なんとなく頭の中に浮かんだ話だから作り話だよ」
と言っていた。