学生時代、友達のB子から聞いた話。
B子はパソコンで夜更かしが大好きだった。
学校が終わって家に帰ると、すぐにパソコンを開いてチャットルームに入り浸るのが日課だった。
ある日、B子はいつもとは違うチャットルームを見つけた。
「真夜中の井戸端会議」という名前で、深夜0時から朝6時までしか開いていないらしい。
「ちょっと怪しいけど、面白そう」と思ったB子は、その日の深夜、チャットルームに入ってみた。
チャットルームにはすでに数人が集まっていた。
ハンドルネームはみんな奇妙なものばかりで、首なしライダー、口裂け女、人面犬など都市伝説にちなんだ名前だった。
B子は雪女というハンドルネームでチャットに参加した。
最初は他愛もない会話だったけど、次第に話題は怖い話になっていった。
首なしライダーは、夜中にバイクで走っていると首のないライダーに追いかけられた話をしたし、口裂け女はマスクをした女に「私、綺麗?」と聞かれて、間違った答えをすると口を裂かれる話をした。
B子は最初は作り話だと思っていたけど、あまりにもリアルな話にだんだん怖くなってきた。
そして自分の番が回ってきたとき、B子は以前学校の友達から聞いた話をした。
それはある山奥のトンネルで幽霊が出るという話だった。
B子の話を聞いた途端、チャットルームが静まり返った。
そして人面犬がこう言った。
「そのトンネル… 俺も行ったことがある」
B子はゾクッとした。
それはB子が友達から聞いた話と違い、妙にリアルで生々しい話だった。
「もしかして… このチャットルームにいるのは、みんな本物の幽霊なのでは?」
B子は恐怖に震えながらチャットルームを退出した。
それ以来、B子は夜更かしをやめて、真夜中のチャットルームに入ることはなくなった。