怖い話と怪談の処

いつも☆くださる方、ありがとうございます。このブログは知り合いから聞いた話や、思いついた話を載せていきます。完全に自作した話やAIにアイデアを貰った話、心霊系動画に使えそうな素材等を置いていきます。

廃墟のメリーゴーランド

大学生のショウタとユウキは、肝試し好きな二人組だった。

 

「おい、ショウタ、聞いたか?あの廃墟になった遊園地のこと…」

「ああ、"◯◯遊園地"か?なんで急にそんな話…」

ショウタがスマホゲームに熱中しながら答えると、ユウキはニヤリと笑って続けた。

「あそこ、出るらしいぜ…マジもんの幽霊が…」

ユウキの言葉に、ショウタはゲームの手を止めて顔を上げた。

「マジもんの…って、どんな幽霊だよ?」

「それがなぁ…夜になると、誰もいないメリーゴーランドが勝手に動き出すんだと。

で、その上に乗ってるらしいんだ…小さな女の子が…」

「…は?」

ショウタは思わず間抜けな声を出した。

そんなバカな…。

子供騙しの作り話だろう。

そう思ったが、ユウキの目は真剣だった。

「なぁ、ショウタ!今度の週末、確かめに行ってみないか?肝試し!!」

いつものようにユウキの冒険心に火がついてしまったらしい。

ショウタは呆れながらも、内心では少しだけワクワクしている自分がいた。

 

そして週末、二人は◯◯遊園地の門前に立っていた。

「うわ…マジで廃墟じゃん…」

錆びついた門扉、雑草が生い茂る園内、そして不気味な静けさ…。

かつての賑わいはどこにもなく、そこにはただ朽ち果てた夢の残骸が広がっているだけだった。

二人は肝試しとはいえ、さすがに昼間から遊園地に入る勇気はなく、日が暮れるまで近くのファミレスで時間をつぶした。

 

完全に日が沈んだ頃、再び◯◯遊園地へと戻ってきた。

「…行くぞ、ユウキ」

ショウタは懐から懐中電灯を取り出し、門扉をくぐった。

二人は人気のない遊園地をゆっくりと進んでいく。

壊れたゲーム機、色褪せたポスター、そして人気のない売店…。

あたり一面に廃墟特有の陰鬱な空気が漂っている。

「なぁ…幽霊とか、本当にいるのかな…」

ショウタは不安げに呟いた。

するとその時だった。

遠くの方からかすかにメロディーが聞こえてきたのだ。

ショウタとユウキは、顔を見合わせた。

そのメロディーは、◯◯遊園地のシンボルでもあったメリーゴーランドの音楽だったのだ。

二人は音を頼りにメリーゴーランドがある広場へと向かった。

そして広場に足を踏み入れた瞬間…ショウタとユウキは、息を呑んだ。

「うそだろ…?」

目の前のメリーゴーランドは動いていたのだ。

誰もいないはずのメリーゴーランドが、ゆっくりと、しかし確実に回転しているのだ。

その様子は、まるで誰かがスイッチを入れたかのように、不自然なほどにスムーズだった。

そして…いた…。

ショウタは回転する木馬の上に見つけた。

白いワンピースを着た小さな女の子の姿を…。

その少女はこちらに気づいている様子もなく、ただ静かに一点を見つめたまま、ゆっくりと回転しているだけだった…。

二人は恐怖でその場から動くことができなかった。

 

やがてメリーゴーランドの音楽が終わりを告げ、回転がゆっくりと止まった。

また少女の姿も消えていた。

ショウタとユウキは恐怖で顔面蒼白になりながら、一目散に遊園地から逃げ出した。

 

それから数日後…。

ショウタはユウキから、ある記事が載った新聞を見せられた。

それは、◯◯遊園地が閉鎖される数日前、園内で遊んでいた女の子が行方不明になり、今もなお見つかっていない…という記事だった。