怖い話と怪談の処

いつも☆くださる方、ありがとうございます。このブログは知り合いから聞いた話や、思いついた話を載せていきます。完全に自作した話やAIにアイデアを貰った話、心霊系動画に使えそうな素材等を置いていきます。

深夜、路地の奥にあった大きな鏡

OLのミサキは、毎晩のように残業続きで疲れ切っていた。

今日も終電間際の時間に会社を出て、重い足取りで家路につく。

「はぁ…もうこんな時間…」

時刻は午前0時を回っていた。

人気のない通りを歩くミサキの横を、冷たい夜風が吹き抜けていく。

「…早く帰りたい」

ミサキはそう呟くと、足早にマンションへと続く路地裏へと入っていった。

 

路地裏に入るとさらに辺りは暗くなり、自分の足音だけが不気味に響き渡る。

その時、ミサキはふとある異変に気づいた。

(あれ…?)

道の先にあるはずの、行き止まりを示す壁がなくなっているのだ。

「まさか…道を間違えた…?」

ミサキは辺りを見回したが、見覚えのある景色はどこにもない。

代わりにそこには先ほどまでとは違う、どこか異様な雰囲気を漂わせる空間が広がっていたのだ。

(な、なに?…ここ…)

不安に駆られるミサキ。

その時、彼女の目に飛び込んできたのは、路地の奥にぼんやりと光る大きな鏡だった。

高さ2メートルはあろうかというその鏡は、古びていてところどころにヒビが入っている。

そして、その鏡面は不気味なほどに黒く、まるで吸い込まれそうな感覚に陥る。

(こんなところに、鏡なんてあったかしら…?)

ミサキは恐る恐る鏡へと近づいていく。

鏡の前に来た時、彼女は思わず息を呑んだ。

鏡に映っていたのは紛れもなく自分自身。

しかし、その表情は普段の自分とはまるで違っていたのだ。

鏡の中のミサキは、顔色は青白く、目は虚ろで、まるで生気を失っているようだった。

その口角は不気味に釣り上がり、薄ら笑いを浮かべているのだ。

(うそ…なに…これ…)

恐怖に震えるミサキ。

その時だった。

鏡の奥からゆっくりと手が伸びてきたのだ…。

「きゃあああああーっ!」

ミサキは悲鳴を上げその場から逃げ出した。

しかし鏡の中の自分は、不気味な笑みを浮かべたままミサキを追いかけてくる。

「こっちに来ないで!来ないでーっ!!」

ミサキは必死に走り続け、ようやく自宅のマンションへと逃げ込んだ。

急いで部屋に駆け込むと同時に、ドアを勢いよく閉めた。

「はぁ…はぁ…」

ミサキは胸を押さえ、荒い息を整えた。

冷や汗が止まらない。

(あれは…一体、なんだったの?)

鏡の中の自分…あの不気味な笑顔…。

それから数日、ミサキは原因不明の高熱を出し寝込んでしまった。