怖い話と怪談の処

いつも☆くださる方、ありがとうございます。このブログは知り合いから聞いた話や、思いついた話を載せていきます。完全に自作した話やAIにアイデアを貰った話、心霊系動画に使えそうな素材等を置いていきます。

夕暮れの白いモヤ

梅雨明けが待ち遠しい、ある蒸し暑い日の午後。

高校の美術部の生徒たちは、日没後の風景を描くため校舎の屋上に来ていた。

 

「先生、もうちょっとで沈みますね」

「ああ、茜色に染まる空をよく観察して描くんだぞ」

教師の言葉に、生徒たちは一斉にキャンバスに向き直る。

しかし、その中でひとりの女子生徒だけが、じっと西の空を見つめていた。

「先生……あれ、何ですか?」

女子生徒が指差す方角には夕日に照らされて、白いモヤのようなものが浮かんでいた。

「あれは…雲か? いや、こんな低い位置に…」

教師も首を傾げる。

その白いモヤはゆっくりと形を変えながら、こちらに向かってきているように見えた。

「先生、なんだか気持ち悪いです」

女子生徒は言い知れぬ不安に駆られて筆を止めた。

すると次の瞬間、白いモヤの中から何かがこちらを覗き込むような、そんな気がしたのだ。

それは人間の顔のようにも動物の顔のようにも見えたが、ふっと掻き消えるように消えてしまったそうだ。