ある地方の山奥に一つの古びたトンネルがあった。
そのトンネルは長い間使われておらず、昼間でも薄暗い雰囲気を漂わせていて、地元の人々の間では、このトンネルにまつわる恐ろしい噂が広まっていた。
その噂とは、夜になると「白い少女」が現れるというものだった。
その少女は、かつてトンネル近くの村でトラブルにあい命を落とし、その怨念がトンネルに宿っていると言われていた。
ある日、その噂を聞きつけた若者たち3人が興味本位でトンネルにやってきた。
彼らはそのトンネルの噂が本当かどうか確かめようとしていたのだ。
真夜中、トンネルの近くに車を停め、懐中電灯を片手にトンネルの中へと入っていった。
トンネルの中は冷たく、湿った空気が漂っており足音が不気味に響いていた。
途中で何度か「もうやめよう」と言い出す者もいたが、結局奥へと進んでいった。
トンネルの中央付近に差し掛かったとき、一人が突然「何かを感じる」と言い出した。
彼が振り返ると、薄暗い中に白い靄が見えた。
驚いた若者たちは「何だあれ」「あれが噂の幽霊なのか!?」等と言い合っている。
靄は次第に人のような形になり、白いワンピースのような服を着た少女になった。
彼女は無表情でじっと若者たちを見つめている。
若者の一人が「こんなところで何してるの?」と言いながら近づいていくと、突然少女の手が伸び、その冷たい手がその若者の肩に触れた。
その触感は現実離れした冷たさで、若者は恐怖に凍りついた。
肩に手を置かれた若者はに悲鳴を上げ、手を振り払うかのように暴れて逃げ出した。
残った二人も置いていかれまいと必死に走り、なんとかトンネルの出口にたどり着く。
3人は急いで車に乗れ!と騒ぎ、そのまま車に乗ると急いで去って行った。
途中、後ろに乗っていた一人がトンネルの方を振り返ると、トンネルの出入り口に少女が立っていて「おいでおいで」をしていたそうだ。