怖い話と怪談の処

いつも☆くださる方、ありがとうございます。このブログは知り合いから聞いた話や、思いついた話を載せていきます。完全に自作した話やAIにアイデアを貰った話、心霊系動画に使えそうな素材等を置いていきます。

暗闇の山道の先

大学時代、登山サークルに所属していたMさんから聞いた話。

 

新入生歓迎合宿の一環で、彼らは山間のコテージに泊まることになった。

そこは森に囲まれ静かな場所だった。

一行は昼過ぎに到着し、荷物を運び込んだ後、これからのスケジュールを確認したり夕飯の準備をしたりして過ごした。

辺りがすっかり暗くなった頃、Tさんが玄関先で立ち尽くしているのに気づいたMさん。

彼の視線は暗闇の山道に釘付けになっていた。

「どうしたの?」

と声をかけると、Tさんはポツリと言った。

「…呼ばれてる。行かないと」

そう言うなりTさんは荷物をその場に置き、山道へ向かって歩き出した。

普段の彼からは想像できないほど真剣な表情に、Mさんはすぐにおかしいと察した。

慌てて後を追おうとしたその時、サークルの先輩であるSさんが声を張り上げた。

「Tを引き止めろ!そっちへ行かせるな!」

その一言で全員が動き出し、Tさんを必死で押さえ込んだ。

Tさんは驚くほどの力で抵抗し、普段とはまるで別人のようだった。

それでも数人がかりでなんとか抑え込むと、彼は急に力を抜き、呆然とした表情になった。

「何してたんだ?俺…」

Tさんは自分が山道へ向かおうとしていたことを、まるで覚えていなかった。

 

その後、落ち着いたSさんが静かに話し始めた。

「あの山ではたまにこういうことが起きるんだよ。

昔から人を騙して山奥へ連れて行く“何か”がいるって噂があるんだ。

行ったら戻ってこられないらしい」

その言葉に、Mさんたちは背筋が凍る思いだったという。