2025-09-08から1日間の記事一覧
Tさんがそのものを見たのは、残業帰りに団地の前を通ったときだった。 街灯の明かりがまだらに伸びる古い集合住宅。 窓の多くはすでに暗く、人影もほとんどなかった。 ふと見上げた屋上、そこに黒い猿のようなものがいた。 手すりにぶら下がるようにして揺れ…
Yさんはその晩、最寄り駅からの帰り道を少し近道しようと、公園を横切ることにした。 時間はすでに二十三時を回り、街灯の光もまばらで、公園内は半ば闇に沈んでいた。 普段は昼間に子供たちの声が響く場所だが、夜はまるで異界のようにひっそりとしている。…
Mさんがそのものを見たのは、終電間際の地下鉄ホームだった。 深夜零時を回り、帰宅を急ぐ人影もまばら。 構内には電光掲示板の明かりと、換気口から流れる低い風の音だけが漂っていた。 ふと視線を向けた反対側の線路上、そこに黒いものが立っていた。 四足…
Kさんは深夜、仕事を終えてオフィス街を歩いていた。 平日の午前一時過ぎ、人気はほとんどなく、照明の落ちたビル群の間を街灯の淡い光だけが照らしている。 タクシーを拾おうかと思いながら歩いていたとき、不意に視線が止まった。 ビルとビルの狭い隙間━━…