怖い話と怪談の処

ブログ名の最後の文字は(ところ)と読みます。怖い話や不思議な話が大好きな方、是非ご堪能下さい。記事への★ありがとうございます。

橋の下の祠

ネットで知り合ったKさんが体験した話。

 

それは盆休みを利用して、山へ一泊釣り旅行に出かけた時のこと。

Kさんは社会人で普段は都会で働いているが、静かな自然の中でゆっくり釣りを楽しむのが唯一の癒しだった。

その日も車で数時間かけて、かつて祖父に教えてもらったという山中の古い橋の近くまでやってきた。

人の気配はなく、川の流れる音だけが心地よく響いていた。

橋の上から糸を垂らしているうちに、ふと橋の下の様子が気になり、岸を回って影の奥へと歩を進めた。

 

すると橋の下の岩と岩の間に、苔に覆われた小さな祠が隠れるように建っていた。

石で組まれた土台は崩れかけていて、誰にも気づかれないような場所だった。

中を覗くとそこには古びた木の仮面と、乾いた小動物の骨のようなものが並べて置かれていた。

仮面は人の顔に似ていたがどこか歪んだ表情で、目を合わせてはいけないような不気味さがあった。

Kさんは言いようのない気味の悪さを感じ、その場をすぐに離れた。

しかし帰ってからというもの、毎晩のように夢を見るようになる。

夢の中でKさんは、あの祠の前に一人立ち尽くしている。

森の奥からは、何か大きな獣が這い出すような気配と唸り声が近づいてくるのだ。

 

現実でも夜になると、窓の外から唸るような音が聞こえるようになった。

風でも動物でもない低く濁った呻き声。

耳を塞いでも消えなかった。

いてもたってもいられなくなり、Kさんは数日後、再び橋の下へ向かった。

けれどあの祠は影も形もなく消えていた。

 

その代わりそこには川岸へ向かって続く、不自然な凹みと何かを引きずったような跡だけが残されていたという。