大学時代、登山部で仲が良かったAさんたちの話。
Aさんたち六人は、夏のお盆休みを利用して山奥の小さな山小屋に泊まることにした。
事前に電話で予約を入れた際、管理人さんから
「私たち山小屋のスタッフは夕方に下山しますので、食器や寝具はあらかじめ用意しておきます」
と告げられていた。
Aさんたちは、スタッフ不在の山小屋で過ごすことには少し不安を感じたが、都会の喧騒から離れた静かな夜を楽しみにしていた。
山小屋に到着すると管理人さんの言葉通り、食器がテーブルに整然と並べられていた。
ただ、少し不思議だったのは、6人での予約だったはずなのに、テーブルには7人分の食器が並べられており、そのうちの一つの皿だけが空のままだった。
誰かが準備を間違えたのかもしれないと軽く笑い飛ばし、Aさんたちは気にせずに過ごすことにした。
その日の夜、みんなで食事を終えた後、Aさんたちは満腹で疲れもあり早めに眠りについた。
しかし、深夜にAさんは突然目を覚ました。
誰かがテーブルに座る音がしたのだ。
何事かと身を起こし、枕元の懐中電灯をつけるとテーブルの空席に人影が座っているのが見えた。
Aさんは息をのんで目を凝らしたが、その人影は空のはずの食器を使って何かを食べるような動きをしていた。
怖くなったAさんは声を出せず、そのまま布団をかぶり直して震えながら無理矢理寝る事にした。
翌朝、恐る恐る他の仲間たちに話をしてみると、誰も夜中にその人影を見た者はいなかった。
しかし、テーブルの空のはずだった食器には、何かが食べられたかのような痕跡が残っていた。